1. かぜのほとんどはウイルス感染です
お子さんがかかる「かぜ」や「上気道炎」の大部分は、ウイルスによって引き起こされます。ウイルスに対しては、抗菌薬(抗生物質)は効きません。そのため、最初から抗菌薬を使うことは、効果がないだけでなく、副作用や耐性菌の問題を引き起こす可能性があります。
2. ガイドラインに基づいた医療を行っています
当院では、厚生労働省が推奨する「こどもの抗菌薬適正使用ガイドライン(2016年)」に準拠し、必要のない抗菌薬の処方は行いません。ガイドラインでは、以下のように記載されています:
「急性上気道炎(かぜ)では、抗菌薬を使用しないことが原則である。抗菌薬の不適切な使用は薬剤耐性の拡大を助長する。」
また、日本耳鼻咽喉科学会も、抗菌薬の慎重な使用を推奨しており、急性中耳炎や副鼻腔炎においても、必ずしも初期から抗菌薬を必要としないことが示されています。
3. 抗菌薬を使わないことは「治療しない」ではありません
抗菌薬を使わないからといって、治療をしていないわけではありません。お子さんの症状をしっかり観察し、必要に応じて解熱剤や咳止め、吸入などの対症療法を行います。また、重症化が疑われる場合や細菌感染が明らかな場合には、適切なタイミングで抗菌薬を使用します。
4. 耐性菌のリスクを減らすために
抗菌薬を不必要に使い続けると、「薬が効かない菌(耐性菌)」が増えてしまいます。これは将来、お子さん自身が本当に抗菌薬を必要とする場面で、治療が難しくなることにつながります。私たちは、将来の健康を守るためにも、いま、抗菌薬の使い方を見直す必要があると考えています。実際、小児でも耐性菌が認められたり、成人の領域では上気道や消化管にさらに多くの耐性菌が観察されることがあります。
最後に
保護者の方々には、「抗菌薬を出してくれない=治療してくれていない」と感じられるかたがいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちは科学的根拠に基づき、お子さんにとって最善の医療を提供しています。どうぞご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。
